悟は俺と同じように、叶わぬ想いを抱えて、苦しんでいた。
どうすることもできなくて、女遊びをしているところも似ていた。
だから、俺は“悟なら信じれる”と思って、今までつるんでいた。
なのに、結局は信用されていない。
だから、俺は仕返しをする。
そんな風に思うなら、それなりに動いてやる。
「あ、暗くなったぁ」
照明が消えて、スクリーンでは公開予定の映画の紹介が始まる。
「もうすぐだね」
「うん! なんかワクワクする」
待ち遠しそうな彼女に笑いかけて、健二はポケットの中で震える携帯電話を手に取った。
点滅する文字は“悟”。
健二は真顔で、それを眺めた。
…隣町の映画館にした、本当の理由。