理子は自分もこの場所を後にしようと、椅子に置いていた鞄を手にする。
学生たちで込み合う中をすり抜けながら、理子は胸の中に引っかかっていた真奈の台詞を思い返していた。
『健二くんには理子がいるんだよ?』
その言葉は、今の理子にとって、最大の悩みだった。
数カ月前の理子は、真奈と同じように、健二に片思いをしていた。
たくさんアプローチをした結果、どうしても付き合いたいという願いは見事に成就し、彼と付き合うところまでたどり着くことができた。
だが、付き合う時に出された条件が1つある。
それは、束縛しない…ということ。
“俺、干渉するのも、されるのも嫌いだけど。そういうのできる子?”
告白した時に、聞かれた言葉。