みずたま(第3章まで公開)

理子もまた、すかした顔で口元をゆるめた。
「で、どうなの? ヨリ戻せそう?」
“バイト帰りに、悟は家まで送ってくれる”
そのことを知っている理子は、2人の関係が順調に進んでいると思い込んでいた。
だが、その質問で真奈の顔つきは、暗くなる。
「なに?…難しいの?」
何かを思い出すかのような表情に、理子は首を傾げた。
「悟ってさ、多分…幼なじみの女のことを好きなんだと思う」
真奈の頭の中に、数個の映像がよみがえる。
…幼なじみと街を歩く、うれしそうな彼の横顔。
バイト先で彼女のことを聞いた時も、一瞬で様子が変になった。
そして、彼女が理子の彼氏と一緒にいた日から、不機嫌になっている。
あきらかに、彼はあの幼なじみを想っているに違いない。