みずたま(第3章まで公開)

「…何があったか知らねぇけど、早く仲直りしろよ?」
そんな俺たちを黙って見ていたクラスメートたちは、眉間にしわを寄せてムスッとする俺に、困り果てたと言うかのような態度で、ため息をついている。
「しねぇよ」
俺はそう答え、すくっと立ち上がり、席を離れた。
…仲直り?
するわけねーだろ。
裏切ったやつと、仲良くなんかできるわけがない。
俺がどれだけ広美を好きか、一番わかっていたはず。
なのに、健二は馬鹿馬鹿しいと言った。
…絶対に許さねぇ。
冬に向かう季節は、頬に冷たい風を当ててくる。
俺は奥歯をきつく噛み締めたまま、学校を後にした。