みずたま(第3章まで公開)

声が震えていく。
まばたきもできない。
しれっとそこに立つ健二を、俺はただ見つめるだけ。
だが、彼はそれ以上、何の弁解もしてこない。
「ふざけてんの?」
意味のわからない状況で、手には汗がにじんでいた。
一度、健二を疑って、俺はさっき後悔した。
だから、今度こそは信じたい。
広美に手を出しているだなんて、考えたくもない。
でも、健二は冷めた顔つきで黙っている。
「何とか言えよ?」
…嘘だろ?
昨日は、俺が生まれた日。