みずたま(第3章まで公開)

でも、目は笑っていない。
俺はゴクリと、つばを呑んだ。
「…何言ってんの? お前」
理解できない。
俺は引きつった表情で聞き返す。
健二は俺の顔から目をそらすことなく、もう一度、口を開いた。
「昨日、あの子と電話したよ」
飄々と、その台詞はささやかれた。
その言葉が思考回路を巡ると同時に、俺の頭の中は真っ白になっていく。
「は?」
腹が立っても、うまく言葉が出てこない。