その頃、健二は遊び仲間たちが戯れる公園で、ケラケラと笑っていた。
「健二、アイツ遅くね? 電話してよ」
待ち合わせになかなか来ない仲間を心配し、ある友人が声をかけてくる。
「あー、わかった」
健二はそう言って、公園の端にあるベンチに腰掛けて、携帯電話を取り出した。
発信履歴を開いて仲間の番号を探していると、ピタリと指の動きが止まる。
「あ、履歴に残ってたんだ…」
画面に映るのは、名前のない番号。
その上に記されるのは、あの日…喫茶店を出た時の日時。
そう、彼女の目の前でコールをし、自分の番号を知らせたときのものだった。
「悟のやつ、自分だって元カノと続いてるくせに」
そうつぶやいて、健二は仲間の番号を探すのをやめて、耳に携帯電話を当てた。
プププ…という発信音とともに、画面に映る番号は点滅していく。