「明日、アイツに謝らなくちゃな」
部屋に戻った俺は、部屋の隅に放ったらかしにしていた箱を引き出して、中にある腹巻を身につけた。
鏡に映るこっけいな自分の姿に、初めて笑みがこぼれてくる。
俺は腹巻をしながら、広美からもらった帽子を手に取った。
「…本当は1人で買ってほしかったけど」
広美がくれたニット帽は、俺が昔から好きな色で、自分で思うことじゃないのかもしれないけど、すごく似合っていた。
俺はニット帽を脱いで、それに顔を埋めた。
にやけた顔を隠すかのように…。