急変した俺の態度に困っているのか、広美はぎこちなく答えた。
俺は真剣な顔で、彼女の顔をマジマジと見つめる。
「どうしたの?」
訳がわからないというかのような表情で、広美は首を傾げている。
「本当に?」
しつこく聞き続けると、広美はあきれた口調で腰を上げた。
「嘘つく必要なんてないでしょ」
透明のガラスコップに、コーラを注ぐ彼女。
彼女のいつもと変わらぬ対応に、俺はホッと胸をなで下ろした。
「さぁ、ケーキ食おうよ! ね?…あ、サト兄! その漫画の2巻、マジでいいから!! 俺、何回も読み返したんだよぉ!!」
その場の空気を取りつくろうとするかのように、竜介は明るく振る舞っている。
…良かった。
本当に良かった。
ケーキを囲んだ温かな空間の中、俺は安心感に包まれながらも、健二を疑ったことに後悔していた。