みずたま(第3章まで公開)

俺はそれ以来、健二とつるむことを避けている。
「今日、遊んで帰らねぇ?」
数日後、放課後を迎えると、俺の席に健二が近づいてくる。
「バイトあるから」
俺は冷たくそう言い放ち、席から離れた。
休憩時間や昼休み、そして放課後と、健二とは必要最低限のことでしか接していない。
それは、広美と健二の仲がハッキリしていないから。
正直、今、健二の顔を見るといらだってしまう。
時間が合わなくて、広美にも真相を聞くことができないまま、時が流れていた。
…いや、広美と時間を合わせることは、頑張れば可能だった。
だけど、もし2人が互いに好意を持っていたら、健二が嘘をついていたら…と考えると不安で、傷つくことを恐れて、俺はバイトの出勤日数を増やしたりしている。
しかし、明日は広美と竜介が、誕生日を祝ってくれる日。
嫌でも、顔を合わせなきゃいけない日。
こんな風に1人で悩んでいても、切りがないと思ってる。
だから、真実を彼女の口から聞こうと考えていた。