数時間後、目が覚めて、窓の外を見れば、外はもう真っ暗になっている。
「…9時半か」
俺は時計を見て、ポツリとつぶやいた。
そして、寝癖がついたまま、小さなあくびをして、トイレへ向かう。
もう、帰ってんのかな?
そんなことばかり、考えてしまう。
トイレの扉を閉めると、流した水の音は小さくなり、玄関から話し声が聞こえてきた。
母親と話す相手が誰なのか、すぐにわかった俺は、急いでその場所へ駆けつける。
「あ、ヒロちゃん来たわよ」
振り返った母親は、俺にそう告げて、リビングへ戻っていった。