鉄筋コンクリートの校舎の中、教室に背を向けて、窓際でグラウンドを見下ろす。
2年前、俺と広美は肩を並べて、毎日、放課後はそう過ごしていた。
“好きな子とかいるのかなぁ?”
視界には、サッカーボールを追う、ユニホーム姿の友人。
隣でつぶやかれる言葉に、俺は胸を痛める。
“そういえば、いるとか言ってたなぁ”
何とかして、好きになってもらいたい。
友人よりも、俺を見てほしい。
だから、俺は本当のことを話さなかった。
“やっぱり、そりゃ…いるよね”
落ち込む横顔を見ながら、罪悪感に浸る。
友人も広美を意識していたのに、俺は間に入って、邪魔をしていた。
だって、俺だって好きだったから。
相談相手として、一番近くで応援する。
でも本当は、うまくいかないように願っていた。