「ごめんね、急に呼び出したりして。なんか、用事でもあった?」
人で混雑している街の中、ファミレスの前を歩いていると、真奈が謝ってくる。
「あ、別に何もなかったし、大丈夫だよ」
電話の相手は、真奈だった。
「サトは6時半からだっけ? あたしもなんだ。何、食べる?」
「んー、朝飯も食ってねぇからなぁ」
竜介にまで見捨てられた俺は、バイト前の食事に誘う真奈の下に来ていた。
「髪型、いつもと違うよね? 似合ってるよぉ」
飲食店が並ぶ道を歩く中、真奈は目を大きく開いて、顔をのぞき込んでくる。
その台詞は、真奈じゃなく…広美に言われたかった。
「どっか、適当にいい店を探そっか」
俺は愛想笑いを見せて、ブラブラと先を行く。