みずたま(第3章まで公開)

「じゃあ、これにしよっかな…」
気を取り直した広美は、最初に決めていたニット帽を再び手にして、値札を見る。
「うわっ、高い!」
目に入った数字は、予想していたものとは違っていた。
広美はガッカリした顔で、そのニット帽を手放そうとする。
「なんなら、俺が買おうっか?」
横から値札を見ていた健二は、残念そうな彼女を見つめ、声をかけた。
すると、広美はくるりと彼に顔を向けて、笑顔を見せる。
「ううん。こういうのは、自分で買わなきゃ意味がないんだよ。気持ちだけ受け取っとく、ありがとね!」