「一人で何してんの?」
健二は手洗いにいる女の子をそのまま放って、会計だけを済まし、その人物の下に駆けつけていた。
呼び止められたのは、広美。
「あ、サトの…」
「健二くんです」
突然、声をかけられた彼女は、見覚えのある顔に驚く。
健二はコートのポケットに両手を突っ込みながら、彼女に笑いかけた。
「買い物?」
「あ、うん。…サトの誕生日、もうすぐだから」
左右では、人々が歩いている。
2人は街中で立ち止まり、会話をしていた。
「へー、いつ誕生日なの?」
「6日だよ」
「あ、もうすぐじゃん!」