みずたま(第3章まで公開)

「前にさ、幼なじみって言ってた子…いたよね?」
閉店時間を過ぎた頃、瓶ビールやジュースを冷蔵庫に詰めていると、その隣で布巾を洗う真奈が聞いてくる。
「え?」
俺はしゃがんだまま、顔を上げる。
「前に、部屋に来た子…」
真奈はこちらを見ずに、バケツの水を捨てている。
「あぁ…」
頭に浮かぶのは、別れる前、家に真奈を入れた日。
真奈は一度だけ、広美に会ったことがある。
その時、俺は真奈に触れていたわけで…。
別れて友達になった今、その時の話題はしづらい。