みずたま(第3章まで公開)

俺は、生ビールを入れるふりをして、笑顔を見せていた。
「真奈と悟は付き合ってんのか? 仲、いいよな」
厨房からカウンター越しに、店長が話しかけてくる。
「え…」
とまどう真奈。
俺はそんな彼女をチラリと見て、店長に笑いかける。
「いや、ただの友達ですよー」
前に付き合っていたことを話せば、きっと周りが変に気を遣う。
「そうなんだぁ。付き合っちゃえば?」
店長の奥さんが、隣でお盆を拭きながら、話に割り込んでくる。
「いやいやぁ」
そう言って、明るくかわす俺。
真奈はその隣で何も言わず、静かにたたずんでいた。