「ああ!! バッシュだ!!」
箱の中に潜んでいたのは、がっしりとしたバスケットシューズ。
「前に欲しがってたでしょ」
喜ぶ彼を見て、満足げに笑いかける広美。
俺はそんな彼女を横目で見て、頬をゆるめる。
…広美たちの両親は、うちと違って共働き。
きっと、毎日帰りが遅い両親の代わりに、まだ中学生の竜介を喜ばせたいと思っているのだろう。
俺は、そんな広美が大好きだ。
「…ありがと、姉ちゃん」
「だから、俺も一緒に買ったんだって」
姉の優しさに感動する竜介に、俺はムキになって突っ込む。