みずたま(第3章まで公開)

「もしもし?」
俺はかじりつくかのように、急いで電話に出た。
「あ、サト? 今、何してる?」
「今? ツレといるけど」
「あー、じゃあだめかな」
「何?」
テンポ良く、交わされる会話。
珍しく、広美が電話をかけてきた。
無意識に、俺のテンションは上がっていく。
「竜介の誕生日、もうすぐでしょ? 一緒にプレゼントを買わないかなぁって」
広美は、遠慮がちに俺を誘ってくる。