みずたま(第3章まで公開)

俺は、長期戦で行くと決めていた。
余裕を見せる俺を見て、竜介は「ふーん」と何か言いたげな顔をする。
「ま、ガキにはわかんないだろうけど!」
俺は軽快に笑いながら、中学生の竜介を馬鹿にしていた。

翌日、学校帰りに寄ったファストフード店で、俺はポテトを口にする。
「バイト?」
テーブルにひじをつきながら、ジュースを飲む健二が聞き返してくる。
「うん。原付の免許も取りたいし、しようかなって。金も底ついてきてるしな」
そう言って、俺はコンビニで買った求人雑誌を眺める。
「そっか。まぁ、免許取りに行くときは声かけろよ。一緒に行こうぜ」
健二はうなずきながら、ハンバーガーを頬張る。