みずたま(第3章まで公開)

そういや、貯金もそろそろやばいよな…。
夏休みにした短期バイトの給料で、遊んでいる俺。
「ちぇっ」と言いながらガッカリしている竜介の隣で、俺は貯金の残高を計算していた。
「そういえば最近、姉ちゃんと喧嘩しなくなったよね?」
マンションの駐輪場に自転車を置いて、キーを外す竜介。
「まぁな」
竜介の言う通り、本当に俺と広美は喧嘩をしなくなった。
喜んでいることを悟られぬよう、俺は平静を装ってうなずく。
「まだ告んないの?」
「ゆっくりでいいんだよ」
竜介も、健二と同じような質問をしてくる。
あせったって、いいことなんかない。