「あら。社長ってば、いつの間に」
「坪根課長が、またオレの悪口を言ってるのかなと思って、様子を見に来たんですよ」
小さく笑う彰斗さんに、お局様も負けていない。
「それは人聞きの悪い。もし、言ってたとしても、事実ですから」
「でも、新人ちゃんに、変な事は吹き込まないでくださいよ?」
「分かりました」
膨れっ面をしたお局様は、フラフラと皆の輪の中へ帰って行った。
ちょっと、課長~!
彰斗さんと二人きりなんて、なりたくないんですけど!
かすかな街灯が光る夜の川から、春の暖かい風が吹いてくる。
「体調悪いの?」
わざと彰斗さんに背を向けてたあたしに、そんな言葉がかかってきた。

