さすが、鋭い!!
「やっぱりねぇ。私、知ってるのよ。みんなが陰で私の事を、”お局様”って言ってるの」
「い、いえ。そんな事は…」
しどろもどろなあたしに、お局様は恨めしそうな目を向けた。
「私だって、”坪根”じゃない時があったのよ?」
「そうだったんですよね。さっき、初めて知りました」
ちょっと、涙ぐんでない?
大丈夫なの?
「まあ、あなたは若いから、これから素敵な恋が待ってるでしょうけど…」
「は、はあ…。あたしにも、ありますかね?」
「あるわよ。絶対に。でもね…」
お局様は、急に声を低くして、あたしに念を押す様に言う。
「巽社長の様な人を捕まえてはダメよ?」
「えっ?それは、どういう意味ですか?」
と、その時だった。
「桜、髪についてたよ」
彰斗さんがやって来て、あたしの髪についていた桜の花びらを取ってくれた。

