オレンジ色の光りに照らされて、かろうじて顔が見えるだけ。


「彰斗さん、どうしたんですか!?」


力任せに押し返すと、彰斗さんは真顔であたしに言った。


「キスしたい。由依奈ちゃんと、キスがしたい」


「あ、彰斗さん…」


戸惑うあたしを尻目に、彰斗さんはもう一度、唇を重ねた。


かすかに伝わるタバコの味。


ほのかに匂う香水。


そして、力強い温もり…。


どれもが、あたしを恋に堕ちさせるには充分過ぎて…。


もう、どうなってもいいと思ってしまった。


ついこの間、フラれたばかりで、また痛い目に遭いそうな恋だけど…。


だけど、もう止められない。


「彰斗さん、もっとキスして…」


そんなあたしの軽い願いを、彰斗さんは簡単に叶えてくれた。