いつも出入りする入口のすぐ側に、腰くらいの高さの門がある。
門と言っても、白の金属製の簡単な作りになっていて、開けるときしむ音がした。
「ここは、VIPルームに直接繋がってる入口なんだよ」
「そんな入口があったんですか?」
さすがに、通って一週間のあたしじゃ、ここを把握てきていない。
「もちろん、店内からも行けるけど、今日はこっちから行こう」
そう言うと、彰斗さんはあたしの半歩前で、手を差し出した。
「暗いのが欠点。危ないから」
「あ…」
これって、手を繋ぐって意味よね。
あたしは、少し震える手を、彰斗さんの手に重ねた。

