バーは、裏道にあるせいか、途端に人気が少なくなる。
お店も減ってきて、毎回来るたびに緊張するのだ。
「由依奈ちゃん!」
お店の階段の前で待っている彰斗さんが、呼びかけてきた。
ただ、立ってるだけなのに、何てカッコイイんだろう。
「すいません。お待たせしました」
切れた息を整えながら、彰斗さんの側へ行く。
やっぱり、いつもの香りがする。
どこの香水だろ。
もう少し、仲良くなったら、聞いてみようかな…。
「そんなに、急がなくても良かったんだよ?大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
そう言うと、彰斗さんは優しく笑った。
「行こうか」

