「はぁ…。ドキドキする」
年中ライトアップされている並木道を歩くと、春の夜風が気持ちいい。
カップルやグループがいっぱいで、夜といっても賑やかだ。
バーまでは、徒歩で15分ほど。
ショップのウィンドウを見ながら歩けば、それほど距離も感じない。
「あっ、可愛い。この服」
ディスプレイされている、春の新作の服に目がいって、思わず立ち止まってしまった。
薄いグリーンのツインニットに、クリーム色のシフォンスカート。
いかにも“可愛い”感じの服だ。
「彰斗さん、こういう感じの服好きかな?」
ハッ!
何、言ってんのよあたし!
何で、彰斗さんの好みが気になるのよ。
頭の中で打ち消して、バーまでの道を小走りで向かった。

