「ごめんなさいね。せっかく来てくれているのに、主人たら急ぎの電話が入っちゃって」
紅茶を差し出され、軽く会釈をする。
なんて高そうなカップなんだろう。
白地に花柄のカップは、シンプルなのに品がある。
「いいんです。こちらこそ、お時間を頂いてありがとうございます」
「そんなに改まらないで。それにしても…、由依奈ちゃんよね?彰斗のせいでごめんなさいね」
「母さん、何で“ごめんなさい”なんだよ?」
少し不満げな彰斗に、お母さんはたしなめる様な顔をした。
「あんな場所で、あんな事を言うなんて。きっと、由依奈ちゃんは大変だったと思うわよ?」
もちろん、この意味は“結婚宣言”の事だわ。
「あの…。あたしは、とっても嬉しかったので…」
そこまで言って、言葉が続かなくなった。
お母さんはあたしたちの関係を、反対していないのかな?
風香さんの例もあるし。
もし、あたしたちの関係も反対されているなら、“嬉しかった”なんて言ってる場合じゃないかも…。

