「だけど、記事が出てしまった事は、本当に悪かったと思う…」


「それは彰斗のせいじゃないよ。それに、そのお陰で堂々と付き合えるなら、それでいいから」


「強いんだな。由依奈は…」


頬を触れていた手が、今度はあたしの髪に移る。

そして、優しく撫でてくれた。


「初めて会った頃は、こんなに強い女だとは思わなかったよ」


「え~?ひどくない、それ。あたし、けっこう前向きな方だと思うけどなぁ」


「本当だな」


そう言って、彰斗は小さく笑った。


違うよ、本当は…。



彰斗の側にいるから、強くなれるの。


「由依奈…」


顔が近付き、あたしたちはキスをする。


ほら、こうやって温もりを感じるだけで、“好き”って気持ちが募るんだから…。


そうしたらね、どんな事でも頑張れるって思えるんだ。