すると、風香さんは小さく笑った。
目は相変わらず真っ赤だけれど…。
「私じゃ、彰くんに安らぎを与えられなかったんだね。それもそうか…。長い間ずっと裏切っていたんだもん」
”裏切っていた”
それはユウくんのことを言っているんだよね?
「それは、オレにも責任がある。それだけ、風香を繋ぎとめられていなかったんだから」
「もう、ダメって事だよね?どんなに想っても、彰くんはあの頃みたいに好きでいてくれないの?」
小さく頷く彰斗に、風香さんは涙をこぼした。
「22歳の時だったよな。お互い海外に行く前の思い出作りにって、初めてここに風香を連れてきたのは」
「うん…」
「あの時は、本当に後悔したけれど、今はそれで良かったんだと思う」
「どうして…?」
すがるような目で見る風香さんは、女のあたしから見てもドキッとする。
「お陰で今があるから。一番勝手なのはオレなんだ。今はもう、由依奈しか見えない…」
その言葉に、風香さんはガックリとうなだれた。
「もう、どうにもならないんだね。彰くんに別れたいって、言わなければ良かったよ…」

