「亜子からも言っていると思うけど、オレたちは結婚も婚約もする気はないから」
「まったくお前は、聞いて呆れる…。ああ、そうだ。柏木さんと言ったね?」
「は、はい」
突然、会長に話しかけられ、思い切り動揺した。
「どうやって、彰斗に取り入ったんだ?一般のお嬢さん方は、こういうのがお得意なのかな?」
「え…?」
今、すごく見下された気がする。
だけど、会長の醸し出す威圧的なオーラに圧倒されて、言葉が出なかった。
すると、その瞬間、
「オヤジ!いい加減にしろよ!」
彰斗がテーブル越しに、会長の胸倉を掴んで叫んだのだった。
「や、やめて!」
思わず彰斗の腕を掴む。
これは、まさに“修羅場”。
予想出来る事態だったとはいえ、実際起こってみるとパニックだ。
「このネタを売ったヤツに心当たりがあるんだ。そいつを問い詰めるよ」

