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進歩がないのは、あたしの方だ。


こうやって、ベッドの中で感じる温もりに、安心しきっているのだから。


いつもの様に、顔を埋めて目を閉じていると、彰斗が手を伸ばして何かを取っている。


「何をしているの?」


ゆっくりと目を開けると、キラッと光る物が目に入った。


「これ、由依奈に返しておく」


そう言われて差し出されたものは、ネックレスだった。


“この指輪は相当高いわよ”と、お局様が言っていたっけ。


だから本当は、こんな風にネックレスに掛けてていいのかなって、思っていたのに…。


「彰斗が指輪をしちゃうんだもん。あたしが出来なくなっちゃったじゃない」