食い入る様に見つめるその先には、間違いなく彰斗さんがいる。
あの夜、出会った人。
その人が、まさかTATSUMIコーポレーションの社長だったなんて。
「実は僕も、この春から就任しました。みなさんと一緒です。これから頑張りましょう」
そう言う笑顔は、あの日っ同じ。
優しく穏やかで、どこか余裕のある、そんな笑顔だ。
「社長、カッコイイ…」
そんな声が、かすかに聞こえてくる。
まさか、こんな事ってあるの…?
彰斗さんは、あたしを覚えてるかな。
ううん。きっと、忘れてるよね。
そんな事を考えていた時、彰斗さんの視線があたしに向いた。

