お局様に、そんな過去があったなんて意外だけど、聞いていて胸が痛む。
「やり直さなかったんですか?」
すると、お局様は弱々しい笑顔を見せた。
「遅かったのよ。彼は前を進む為に、再婚をしていた。その後、子供も産まれたと聞いて、本当に終わっちゃったの」
「そんな…。そんな事って…」
「失って、初めて彼の愛情に気付いたんだから、私もダメよね?」
そう言われて、あたしは思い切り首を横に振った。
「柏木さんの話は、本当に辛いと感じた。私だって、社長に怒りしか感じないもの。でもね…」
「でも…?」
「社長が言い訳をされるなら、聞いてあげなさい」
「え…?」