「い、いや…」


なんとか押しのけようとしても、ビクともしない。


「”いや”じゃないだろ?全然、体は嫌がってないけど?」


その言葉に、恥ずかしさがこみ上げる。


「マジでムカつくんだよ、そのまどろっこしさは」


そして、また唇を塞ぐと、彰斗は乱暴に服を脱がせた。


「言ったろ?オレはお前が好きだから抱くって。どんなに泣いたって止めないないからな」


あたしが流す涙にさえキスをして、今夜も体を重ね合う。


「本当に嫌なら、押し返せよ。そうしたら、やめてやるから」


汗ばんだ体で呼吸を乱し、彰斗は見下ろしながらそう言った。


「意地悪…。そうやってあたしの気持ちを確かめるんだ?」


分かってるくせに。


あたしが押し返せないって、分かってるくせに…。


彰斗の首に両手をまわし、あたしは目を閉じる。


そして、また、この部屋には甘い声と荒い息遣いだけが響くのだった。