しばらくして、彰斗はゆっくり口を開いた。


「香水は、もうつけない」


「何で?いい香りじゃない」


あたしは、彰斗を追い詰めてるのかな?


でも、それくらいしたかった。


だけど、そんな追い詰められ方で、彰斗があたしに負けるわけもなく…。


次の瞬間、険しい顔をした彰斗に、思い切り押し倒されてしまった。


「まわりくどいんだよ、由依奈は」


「え…?」


ヤバイ。


怒らせてしまったかも。


「言いたい事があるなら、ハッキリ言えよ。それなんだろ?オレを避ける理由は」


あたしを見下ろしながら、彰斗は怖いくらいドスの効いた声で言う。


「そ、それは…」


すっかり、形勢逆転したあたしたち。


思わず生唾を飲み込んだあたしに、彰斗は冷たく笑った。


「じゃあ、オレを嫌いになったわけじゃないんだ?」


「あっ…!」


その瞬間、彰斗は痛いくらいの力強さであたしの唇を塞いだ。