クリっとした二重の目で、分厚い唇。
色気のある”可愛い”雰囲気が出ていた。
「ありがとうございました」
ニコリと愛想のいい笑みを浮かべて、その人は公園を出ていく。
グレーのスーツがとても似合っていて、後ろ姿だけでもピリッとして見えた。
あの人、まさか”風香”じゃないわよね。
そんな事があるはずない。
そう思っていても、龍之介さんの言葉が頭をチラつく。
”エンジのネクタイと香水の事を知れば、立ち直れない”って。
彰斗の香水は特注で、一般には売られていないもの。
それなのに、どうして同じ匂いが彼女からするの?
それは、奇跡的な偶然?
それとも…。
ううん。きっと、風香さんよ。
でなけれが、彰斗と同じ匂いの人が、会社を訪れるはずがない。
もちろん、単なる勘。
だけど、きっと当たってる。
そんな気がする。

