もしかして…。
わずかな期待を込めて、それを見ると、間違いなく指輪だった。
「良かった~。あった…」
気が緩んで、涙が出てくる。
あたしはそのままベンチに座り込み、指輪を握っていた。
やっぱりこれは、大事なもので、結局、彰斗を好きなんだと思い知らされる。
なくなったかも…。
そう思っただけで、一気に血の気が引いたんだから。
ほっと安心して息を整えている時、
「あの、すいません」
「えっ!?」
女の人の声が聞こえたけど、一瞬彰斗かと思った。
だって…。
「TATSUMIコーポレーションの本社ビルって、ここでよかったですよね?」
見上げると、可愛い笑顔がこちらに向けられている。
この人、何で彰斗と同じ香りがするの?
「あ、はい…。そうです」
どうしてあたしに聞くんだろと思った瞬間、自分が社員証を首からぶら下げている事に気づいた。
背はあたしと同じくらいで、160センチくらいかな。
痩せていて、黒髪のストレートなボブスタイルだった。
前髪はきちんと眉の上で揃えられていて、頬にかかる髪は艶のあるキレイな髪だ。

