フラフラと歩くこと10分。 やっと大通りに出ると、客待ちをしているタクシーで、路肩はいっぱいだった。 所々見かける、マフラー音のうるさい車たち。 そして、若い人たちの笑い声や、怒鳴り合う声。 騒々しい夜の街には、目もくれず、彰斗さんは一台のタクシーに向かって手を挙げた。 後部座席のドアが開いた時、 「どこまで?送るよ。一緒に乗ろう」 と、誘われたのだった。 「あ…、でも…」 やっぱり、新手のナンパだって! きっと、連れて行かれるのは彰斗さんの家。 そこで、あたしは襲われるのよ!