何度も唇を重ね合う間に、彰斗はこう言ったのだった。


「由依奈にキスをするのは、由依奈が好きだから」


「え?」


半分ボーッとする頭で、彰斗を見る。



「誤魔化す為でも、何でもないよ。好きだからキスするんだ」


そう言うと、またあたしの唇を塞ぐ。


「ん…、彰斗…」


息が出来ないってば。


分かってるよ。


怒ってるんでしょ?


あたしが、どんな態度を信じればいい?なんて言ったから。


静かな社長室に、あたしたちだけの吐息が響いていた時、


……コン、コン―。


突然ドアがノックされ、女性の声が聞こえてきた。


「彰斗、いるんでしょ?入っていい?」