「黙ってれば分からなかったもんね。それを知らないあたしは、いろんな事を期待するところだった」
「由依奈、違うんだ。本当に誤解してる」
「何を!?」
思わず声を荒げてしまい、彰斗は戸惑っている。
「出来るの?会社にとってメリットある人より、あたしを選ぶって事が」
「……」
「ほら、何も言い返せないじゃない」
彰斗は、あたしから目をそらし、言葉を失った。
「あなたにとって、あたしはただの遊びでも、あたしはあなたに本気だった…」
涙で言葉に詰まりながら、その場を立ち去ろうとすると、彰斗に腕を掴まれた。
「一人で夜道は危ない」
「離して」
「離さないよ。今、ここで離してたら、オレは認めた事になる」

