「信じて欲しい。黙ってたのは、余計な心配をかけたくなかったから」
「……」
たぶん、あたしは勘違いをしてたんだと思う。
彰斗にとって、あたしとの時間は、結婚までの息抜き。
「由依奈?」
黙ったまま、立ち尽くすあたしに、彰斗は心配そうな顔で覗き込んだ。
「ねえ、彰斗は、あたしに言葉以外の事も、信じて欲しいって言ってたよね?」
口に出す言葉が、震えてくる。
「うん…」
「じゃあ、あたしが信じられる言葉以外の事って何?」
こういうやり取りの時、涙を流したくないって思ってた。
そういうの“汚いテ”だと思ってたから。
でも今、あたしは、そんな気持ちに反して、涙が溢れて止まらない。

