それでも無視して、彰斗は続ける。
「絶対に、由依奈と見に来たくて」
「彰斗、誤魔化さないでよ」
苛立つあたしに、彰斗はゆっくりと振り向いた。
「ごめん。黙ってて」
やっぱり、本当の話しなんだ。
「だけど、黙ってたのは、あの婚約は、お互いする気がないから…」
「どういう事？」
「記事の通り、亜子（あこ）は、オレの幼なじみで、親が決めた婚約者だけど…」
そこまで言って、小さく首を振った。
「いや、違うな。婚約者じゃなくて、婚約者になる予定のやつなんだよ」
「どっちも一緒だよ」
なんだか、あっという間に魔法が解けた気分。
やっぱりあたしが、シンデレラになれるわけがない。
