駆け寄る美加と、足取りの重いあたし。
「お疲れさまです!さっき出られたのが見えたんですけど、もう戻られたんですね」
「ああ、ちょっと私用だったから」
彰斗の隣には、珍しく男の人が立っていた。
たぶん、秘書の一人だと思う。
20代に見える、スマートで知的なインテリア風の人だ。
彰斗の秘書は、専任の人はいなく、数人が分業制で行っているらしい。
この人は、その一人。
「ああ、そういえば、さっき見ましたよ」
「え?」
美加のちょっとからかう言い方に、彰斗はすぐに察したらしく、表情が一瞬にして曇った。
「社長、婚約されるんですね」
「あ、あれは…」
彰斗が、あたしに目を向けたのが分かったけど、とても顔を見られない。
「由依奈が週刊誌買ったんで、後でジックリ見ますからね~」
そんな美加に、彰斗は何も答えなかった。

