「あ…、日中は暖かかったから…」
薄いピンクの長袖ニットに、ヒザ丈のベージュのタイトスカート。
大学を卒業してから、少し、大人の女を意識した格好をしてみたんだけど。
ちょっと寒い。
やっぱり、上着を持って来るべきだった。
「風邪ひくよ。家、近いの?」
「いえ…。タクシーを拾おうと思って」
「本当に?じゃあ、一緒に行こうか?オレも乗るから」
「えっ!?」
ちょっと、ちょっと!
今、サラっと誘われなかった?
「良かったら着なよ」
そう言うと、その人は、ベージュのスプリングコートを、あたしに羽織らせた。
「ちょっと大きいな。でも冷えるから」
「あ、ありがとうございます」

