……コンコン―。
社長室の扉を叩くと、中から彰斗の声がした。
「どうぞ」
「失礼します」
万が一、中に他の人がいたらマズイから、あくまでも“社長と部下”の関係は崩せない。
でも今は、部屋には彰斗しかいなかった。
そういえば、秘書らしき人が見当たらないけど…。
ドアを閉めると、デスクに座っていた彰斗が、笑顔でやって来た。
「ありがと。さすが、坪根さん。仕事が早いな」
「はい。これ…。至急で必要な書類なんだよね?」
まだ、タメ口がぎこちない。
昨日の夜、彰斗から言われた事が、“さん”付けをやめる事と、タメ口をきく事だった。
「いや、これは特に必要ないんだ」

