キングサイズのベッドに、二人眠るには広すぎて、少しでも離れると、遠くに離れた気になる。
だから、あたしはずっと、彰斗さんの胸に顔を埋めていた。
ベッドからも香る、柑橘系のあの匂い。
もうこの香りは、彰斗さんだけの香りだ。
「由依奈…」
優しく髪を撫でながら、彰斗さんが小さく呟いた。
「え?」
今、呼び捨てにした?
顔を上げた瞬間、彰斗さんは軽くキスをした。
「二人きりの時は、そう呼んでいいだろ?」
「二人きりの時?」
ちょっと待って。
それって、どういう意味?
「彰斗さん、それは、どういう意味ですか?」