………

「じゃあ、あたし帰るね」


「気をつけてな。早くタクシー拾えよ?」


「うん。バイバイ。おやすみ」


ユウくんに手を振って、あたしはお店を後にした。


地下にあるせいで、階段を上らなきゃいけないのだけど…。


「フラフラする」


ヤバイな~。


だいぶ足にキテる。


まさに“千鳥足”で、あたしは手すりを握りながら、階段を上った。


こういう時、ヒールのある靴は、履くもんじゃないって思うのよね。


「う~。寒い…」


いくら春とはいえ、夜風は肌寒い。


やっと上りきった所で、あたしは思わず身震いをした。


「寒いっ」


と、その時、


「大丈夫?」


少し低い男の人の声がした。