「沙代も見に行くんやろ?」
クリスマスが近づくと、周りの友達は健太郎たちの暴走の話題で盛り上がる。
「あぁ…うん。健太郎が“来て”って言うてるし」
「いいなぁ。あたしも、広也に告ろっかなぁ」
すっかり公認のカップルになっている沙代と健太郎を、羨ましがる明美。
親友の明美は、健太郎の友人に恋をしている。
「良くないよぉ。今年も暴走やから、会うの遅いし」
沙代は頬を膨らませて、愚痴をこぼす。
「でもさぁ、走ってるときカッコイイやん!それに、沙代はめっちゃ想われてるんやから、贅沢やってぇ」
そう言って、明美は明るく笑いかけてくる。
「そうやで!だって健ちゃんさぁ、めっちゃモテるやん?やのに、浮気もせんと、沙代に一筋なんやで」
ブスッとしたままの沙代に、友人の由加もにっこりと微笑んでくる。
沙代は、渋々…コクリと頷いた。
そのとき…
「そうやで!沙代ちゃんは、笠井くんにめっちゃ想われてるんやで!」
沙代の背後から、オカマのような声が聞こえてきた。
「健太郎!」
振り返ると、そこにはニンマリと口元を緩める健太郎の姿。
「びっくりしたぁ!急に現れるんやもん!」