「…返事してよ」
溢れ出す…大粒の涙。
目の前に映る彼の残像が、深く歪んでいく。
「約束したやん」
沙代は、その場にしゃがみ込み…泣き崩れた。
冷たい石ころが、震える両手に、跡を残していく。
「…あんたが死んだら、意味ないやんか」
独りにせんといてや。
“そばにおる”って、言うたくせに。
あたしだけ残して死ぬとか…ひどいよ。
「…嘘つき」
今でもはっきり覚えてる。
声も笑顔も、温もりだって…忘れてないよ。
…忘れてない。
手と手の間に、ぽたりぽたりとこぼれ落ちた涙が、じんわりとにじんでいく。
健太郎がおらな、受かっても…意味ないやん。
…意味ないやんか。